ほとんどの人は中国語の標準語(普通語)が話せれば中国人とコミュニケーションが取れると考えます。

しかし現実は中国語普通語を話せても必ずしもすべての中国人とコミュニケーションができるようになるわけではありません。

今回は中国の言葉や習慣について解説します。

普通語の普及率は80%

2020年の報告によると中国全国の普通語普及率は80.72%です。人口が14億人いるとされているので、そのうち2.8億人近くは普通語が話せないという事になります。なぜそのようなことが起こるのでしょうか。

なぜなら中国は56の少数民族がいてそれぞれ個別の言語を持っています。そのうち最も多いのは漢族で、漢族の言語をもとに政府によって公式に定められたのが中国普通語です。

「普通語=北京語」と思われがちですが、厳密にいうと同じではありません。普通語は北京語を参考に作られた公式標準語です。北京語自体は北京地方の方言です。

中国語は地域差の激しい言語です。地域が違うと理解できないほど方言が異なります。地方によって普通語の発音や言い回しも違うことがよくあります。

テレビなどの公共放送や学校では普通語を使わなければいけません。普通語を聞いて理解できても、話せない人も一定数います。農村部ではそういう人が多い傾向にあります。

方言はまるで外国語

地域によって方言は大きく異なります。有名な方言と言えば広東語かもしれません。広東地方や香港などで話されています。上海では上海語、四川では四川語、など地方によってそれぞれ方言があります。

例えば「香港」の中国語普通語のピンインは「Xiāng gǎng(シャンガン)」です。しかし私たちは香港を「Hong kong(ホンコン)」と読むのではないでしょうか。

なぜなら広東語では「香港」を「Hong kong」と読むので、国際表記ではこちらが採用されているのです。このように同じ漢字であっても読み方が全く異なります。

その他、普通語を話していてもなまりが強いので「n」の発音が「l」になったり、「zh」の発音が「z」の音になったりすることもあります。中国人であっても出身が違えばコミュニケーションは容易ではありません。

地方が違えば言語だけでなく、習慣も文化も宗教も違う

56の少数民族のうち90%は漢族です。つまり10%に満たない割合の中に55の民族がいます。そのため地域や民族で習慣や文化が大きく異なります。

例えば食べ物。北方は小麦食なので餃子や麺が多く、南では米食でチャーハンなどがよく食べられています。味付けも地域によって異なり、北方はしょっぱく、南方は甘く、内陸は辛い傾向にあります。

信仰も民族によって異なりチベット族はチベット仏教を信仰しています。回族はイスラム教を信仰しています。

同じ国でありながら言葉や習慣が違うので、まるで外国のようですね。